「怨讐星域」_約束の地

梶尾真治の「怨讐星域」を読了。
それぞれ「ノアズアーク」「ニューエデン」「約束の地」のサブタイトルがつく長編もの(全3巻)。
このサブタイトルからもなんとなく予想できるもの。
放浪、長い旅、苦難の先にある目的の土地。”創世記”に記されている”約束の地”etc...

 カジシンこと梶尾真治の「黄泉がえり」もそうなのだけれどこの「怨讐星域」も群像劇でそれぞれ時間軸も別の場所での様々な登場人物が数々の困難に立ち向かうというもの。
複数のエピソードのコントラストが物語りを重層に様々に色彩を与え、読後にはじんわりと感動します。

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S.Fというジャンルは非現実的なものなのだけれど、時にその内容は非常に普遍的なテーマを見せてくれる。

 ストーリーは。
太陽フレアの膨張により地球滅亡が予想される未来。人類は地球脱出を計るもその数に限りがあった。アジソン大統領をリーダーとする約3万人が極秘裏に地球を脱し世代間宇宙船「ノアズアーク」にて遙か彼方に確認された地球型惑星へ向かう。

 残された人類はその真相を知り、そして奇跡的に発明された転送装置でノアズアークより先にその第二の地球への大量転送を開始する。史上例を見ない事業にその惑星へ無事転送できた人間もわづか。
言葉も文化も異なる様々な人たちが、全く未知の土地で生き抜いていかねばならない状況に人類は文化言葉の壁を越えて団結していく。
 その先には何十年、何百年後かにこの地へやってくるであろうノアズアークの人間達、「人類を見捨て逃げ出したアジソン一派の子孫」への復讐のために・・・・。
 人々はその地を「ニューエデン」と呼んだ。

 そして何世代もの時を経て二つの人類は相まみえる。
一方は”約束の地”への不安と希望を抱き、一方は積年の恨みを晴らすために。
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 歴史は繰り返す。
この作品は舞台を宇宙船内、未知の惑星と非現実的なのだけれど、現実の歴史を紐解けば似たようなシチュエーションがたくさんあるだろう。
裏切り、生への執着、渇望、怨讐、敵対する構図も_。

 人は時間の経過の中で、それを”忘れていくもの”なのかもしれない。
”忘れてしまうこと”で人は変わっていき、きっとより良き方向へ_。

 いい作品。

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 余談。
 著者が熊本出身だからなのだろうけど、いくつかの舞台に見知ったところが出てくるとちょっとどきっとくる。健軍とか長者原とか・・・。

 あるエピソードで、地球脱出のために転送事業が始まるのだけれど、一部の人々は最後まで地球に残りたいと、その日まで淡々と過ごす話があって、しみじみとなってしまいます。



 
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