「フェイクニュース」

 10月20、27日にNHKのドラマ「フェイクニュース」を観ました。
タイトルには小さく”あるいはどこか遠くの戦争の話”ともあってちょっと疑問に感じて観た次第です。


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 主演が北川景子で、役名が東雲樹(しののめ いつき)というちょっと読みづらく珍しい名前のネットメディア編集者という役柄です。

 この”フェイクニュース”という言葉ですが、言葉そのものは以前からあるようですが、日常私達がよく耳にするようになったのはおそらく米国のトランプ政権誕生あたりではないでしょうか? 大統領が名指しで特定のメディアを批判するということがニュースになり、そのことが取り上げられたあたりかと。
 そこには、大手メディア(新聞,TVの報道)とネットニュース、SNSで拡散されるものとの差異に対して既存メディアへの疑問が生まれた土壌があったのかもしません。

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 ストーリーは。
オープニングは何故かすごく澄み切ってきれいな描写です。
日の当たる木々の木漏れ日、薄緑の美しい葉。風にそよぐ枝、
その枝にズームしていくと一匹の小さな青虫(エメラルド色でちょっときれいです)が進んでいるのですが、ひょんな事から枝から落下してしまい_。



 とある小さなSNSの投稿が波紋を広げます。カップ麺の中に青虫が混入していたというもので、同じような体験があるとの情報も重なりそのカップ麺異物混入は製造メーカーに連日クレームの嵐となり、そのニュースが拡大していきます。

 過去の不祥事(?)で東日本新聞から子会社のイーストポストに出向となった東雲(北川景子)は、ネットメディアのPV(ページビュー)ありきの姿勢に憤りを覚えながらも、この異物混入を記事として取り上げます。
 そしてこの青虫混入を取り上げた投稿者”木から落ちない猿”や、カップ麺製造メーカーに取材し、混入はフェイクニュースでは無いかと疑問を持ちます。
 ですが、そのメーカーは外国人労働者を安くこき使っているブラック企業であるという記事がネットニュースにアップされ騒ぎは拡大する一方。
ところがその記事も、他の混入を伝えるSNSもフェイクニュースであることがわかり、東雲は混乱します。
 
 そんなとき東日本新聞の元同僚から外国人労働者雇用に関する”不正な金の流れ”の情報を聞き、東雲は元官僚で現在県知事選挙に立候補している因縁浅からぬ議員の名を思い出します。そしてその議員と青虫混入麺の製造メーカーの親会社とのつながりをつきとめた東雲はニュースが単なる異物混入事件だけでは無い事を確信していきます。
 
 一方青虫混入事件は、企業間のコンペを妨害するためのでっち上げであるとの報道がひろがり、事件は終息するかに見えたのですが投稿者の”木から落ちない猿”の家には興味本位のネット投稿者達が集まり、家庭は崩壊、”木から落ちない猿”の勤める会社に連日のクレームの嵐となります。

  「どうしてこうなったのだ!」憤る”猿”はイーストポストの東雲にくってかかり、東雲は真相を追求すべく、疑惑の議員・最上のもとへ向かいます。
 過去新聞記者時代に追求した外国人労働者雇用に関する仕組みとその金の流れを、今度は県レベルで行われようとしている、そう東雲は確信したのですが、最上から出た思惑とは全く別の言葉に愕然とします。

 そして東雲は情報のリーク元である元同僚が実は自らのスクープのために東雲を欺いていたことがわかります。外国人労働者雇用にまつわる不正の大本は現職の県知事であったことに。

 ですが、新聞社内では現知事の不正を暴くネタは選挙前であると言うことで没になります。
  ”こんな事ではだれも新聞を読まなくなる”
 東雲を欺いた記者はただ一人激高します。

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 選挙前日の両候補による演説会場に”猿”とともにやってきた東雲。
 両候補はお互いを非難し、”猿”は突然壇上の最上からマイクを奪い、青虫混入は本当にあったことだと叫びます。

 様相が混乱を見せていく中突然、難民を受け入れる事を是とするプラカードを掲げた団体がなだれ込んできます。一方、受け入れはテロを誘発すると反対する団体が叫びを上げます。その状況に壇上の候補者は戸惑うばかり。
 誰かの誤解に基づく小さなSNSへの投稿が呼び水となって大勢の賛否の争いとなっていき暴徒と化した群衆で詰め尽くされてしまいます。いつしか火の手が上がり、逃げ惑う市民は会場から逃げだそうと将棋倒しになり怪我人があちこちに_。


 選挙が終わった数日後のある日、東雲は“猿”を訪れます。
選挙の結果は現職知事の続投が決まり、その不正は後日”秘書の不始末”で報道されていました。
 離婚し、退職した”猿”は、会社が建て直された事、家族に理解してもらえたことを喜び、一人ホームレスのような生活をしていました。
 「誰かに味方になってもらいたかったのかもしれない」と”猿”は述懐します。社内で孤立し窓際族であったときに身に降りかかった小さな災難に対して。

 東雲は今回の事件でネット上で一躍時の人物となりますが、”反日暴力記者”のレッテルは、ネット上では小さくはなっても消えることは無いと憂鬱げに答えますが、その表情にはこれからもまっすぐ進んでいく力が漲っています。


 
 そして一人、カップ麺をすする”猿”、そのカップ麺に小さな青虫が落ちてきます。びっくりする”猿”ですが、「ま、死なないか」と苦笑しつつ青虫を箸でつまんで放り投げ、麺をすすり始めるのです。


 観ていてすごく暗澹たる気持ちになりました。いったい何が本当のことなのか? アクセス数のために、いい加減な記事を投稿する主婦、顧客からの要請でネットにアップしただけだと答える編集者、誰も真実を知りたいのでは無い、見たいものを見る、見たくないものは見ない、興味本位でしかない人々の嗜好。
 それがエンターテイメントならいざ知らず、現実の政治経済、生活に強い影響を及ぼすようになり結果的に、心身ともに傷つく人たちが生まれる悲劇_。
 ラストの暴動はこの作品のサブタイトルになる”あるいはどこか遠くの戦争の話”を思わせます。

 こんなことで日常は変わってしまうのだろうか・・・・。


 考えさせられる作品でした。






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