「メッセージ」

 映画館で2回観て、そしてBlu-ray discを購入して、なんて言うか時々つい、部屋で観てしまう、そうい作品に巡り会えることはそうたびたびありません。
 やはり大抵の作品は数ヶ月経ってしまうと、ああそんな映画みたな、おもろかったなとか言う感じで、年月が経つと半分くらいしか覚えてなかったりします。

 映画「メッセージ」(原題:ARRIVAL)は私にとって度々観てしまう作品です。原作はテッド・チャンの「あなたの人生の物語」です。

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映画のストーリーは、SFの1ジャンルであるファースト・コンタクトものなのですが、作品から受けるテーマは別のところにあるようです。



 時間の流れと、人の記憶・思いはその性質から異なるものです。
時間はつねに一定で、誰にとっても同じ早さで、止まることなく、そして二度と後戻りは出来ません。
 ですが人の記憶は時間を超越しています。
 家族、愛する人との思い出、その中には必ずしも幸福な楽しげなものばかりとは限りません。つらく悲しいものもあります。また嫌いな人、嫌な出来事なども、その人にとって印象的な記憶は何十年前の出来事であっても最近の出来事のようによみがえります。

 もし、その回想が未来をも見ることが可能であったら、どうなのでしょうか?。(未来を回想するという言葉はおかしな表現なのですが)
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 もし将来に悲しい運命が自分を待っているとしたら、それを受け入れることが出来ますか?

 この作品を観る者にそう問いかけているようにも感じます。


 ストーリーは。
突如世界の12カ所に巨大な宇宙船が出現します。各国は科学者言語学者を総動員して、その異星人とのコンタクトを試みますが、思うようにいきません。姿形も人類と異なり、その発する声(音)もまるで汽笛のようです。
アメリカ軍は言語学者のルイーズと科学者のイアンににそのコンタクトを要請し二人をリーダーとしたチームが作られます。
 映画ではこのルイーズの視点を通して、宇宙船の中の様子が描かれるのですが、機械的デザインとはほど遠い真っ黒い洞窟に入っていく様はまるで人の深層心理に潜り込むような感覚を受けます。
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 薄もやのような仕切りの向こうはまるで霧のようです。その奥からゆっくり現れる異星人との対話は思うようにはいきません。ルイーズは発話でのコミニュケーションをあきらめ文字によるコミニュケーションを試みます。
 それは見方を変えれば異星人とのやりとりというよりも、人の心の内側を探る探検のようにも見えます。

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 映画ではこの異星人とのコンタクトが人類の進歩への分岐点として描かれているのですが、主人公ルイーズにとっては自身に訪れる過酷な運命に向かい合うことを選ぶものになります。


 よくある(いままでの)映画であれば、悲惨な未来を変えるために努力し未来を変える、というのが定番なのですが(例:ターミネーター、バック・トゥ・ザ・フューチャ-,etc)この作品は違います。
 それは劇中の異星人がそうであったように、運命を受け入れることを是とし、それはある種の諦観を示しているようです。

 未来は変わるものではなく、それはずっと先まで決まっており、変えることが出来無いもの。。
 人類はそれ(未来)を知るすべを持っていませんが、このヘプタポッドと呼ばれる異星人はそれを会得しています。
 劇中、何度となくルイーズとその娘のシーンが挿入され、映画の観客側は彼女が過去を回想していると誤認識してしまいます。ですがストーリーの最後の方で気づかされるのです。それは映画の種明かしのように。

 時間を超越して過去・未来をも見ることができるのなら、そして悲劇が避けられぬものなら、あなたはそれを受け入れることは出来ますか? 

 劇中では、その答えとして、その一瞬一瞬を大切にしたいと、未来の夫となるイアンはルイーズに答えます。
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 彼女はイアンと将来生まれてくる娘との未来をわかった上で
 ”その一瞬を大切にしたい”と答えた彼に抱擁します。
 このときのルイーズの表情は何ともいえません。
共に生きていくことを決心した喜びでもなく、将来待ち構える悲しみをどこか胸の隅に感じているような、そんな風です。

  


 ここまで書いておいて、ふと感じた点があります。
完成した(一旦終了した)映画、TVドラマを観ることはこのヘプタポッドの体験に近いものだと言うことに。
 それらの結末(ストーリー)は好むと好まざるとに関わらず決定づけられています。 

その作品の結末が悲劇であれ、ハッピーエンドであれ繰り返しそれを観る私達はそれを受け入れる事しかできません。
そう考えるとなんとなく、”メッセージ”のヘプタポッドというものを理解できるのではないでしょうか?

 閑話休題。


 この映画「メッセージ」はSFのファースト・コンタクトものという形をとりながら、観る者に重要なことを告げます。
 
 それは運命を受け入れることと、どんな状況であれ、そのときを大切に生きることを_。


 良い作品です。



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この記事へのコメント

2018年09月27日 18:15
こんばんは。

ルイーズを演じたエイミー・アダムス。
彼女のもつピュアな面と
その抑えた演技が本作を
より引き立てているように思いました。
レビューに共感です。
この作品扮した
2018年09月29日 22:30
小枝さん、ブログ読んでくださり、コメントありがとうございます。この「メッセージ」は私にとってとても大切な作品になりました。
再・小枝
2018年09月29日 22:59
こんばんは。
私も映画が好きで
たまにですが拙ブログで
取りあげさせていただいています。
またお邪魔させていただきます。
P.S.
前のコメントの末文にて
文字が重複していることに気づかず…
お詫びいたします。

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